バンクス花譜集展

キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展

先日グラントワに行って見た。
前回の芳年展で貰った割引券(画像左下)は希望すれば引き取れる。栞として使えそう。
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以下覚え書き
六分儀:天体高度測定器具、天測航法で使う
ノクターナル:星時計、北極星と周辺の星の位置を測定することで時刻を知る器具
アストロラーベ:太陽や北極星の高度を計り緯度を知る器具
ハンドログ:船の速さを計測する器具、板と等間隔の結び目のあるロープで出来ている
南天用ノクターナルとか有るのかなとググってみたがよくわからんかった。
 
クックの第1回航海開始時点で、航海に使える精確に時を刻むクロノメーターは完成していたが、天文学的方法による経度測定法にこだわる天文学者との軋轢で正当な評価がされず、クロノメーターが経度測定で活躍するのはクックの第2回航海である

ジェームズ・クックによる第1回太平洋航海(1768~1771)

軍艦エンデバー号、長さ32m、小型帆船。
元は石炭運搬船で大きさの割に積載量が多く平底で浅瀬に強い、出発時の乗員は94名
実物大レプリカがオーストラリア国立海洋博物館で展示されている

南米経由で南太平洋のソサエティアイランズソシエテ諸島)へ
タヒチ島で金星の太陽面通過を観測
3ヵ月滞在

wikipediaより
金星の太陽面通過を観察することで、地球と太陽の間の距離(1天文単位)が算出可能となる。1天文単位の距離を得るために、1761年と1769年の太陽面通過では欧州を中心として国を超えた国際的な観測事業が行われ、世界各地に天文学者が派遣された。この観測プロジェクトは科学における初の国際共同プロジェクトとも評される

ニュージーランドマオリ族接触
誇り高きマオリの戦士達は飛び道具を使わない
クック船長はマオリの装飾、美意識に感心している
薄く剥いだ木の皮を叩いて柔らかくし着色した樹皮布と樹皮叩き棒が展示されていた。

クック船長は6ヵ月かけてニュージーランド周辺の海図を作成

オーストラリアで最初に上陸した湾は後にボタニー湾(植物学湾)と呼ばれるようになる
アボリジニ接触

4ヵ月程沿岸を測量していたがグレートバリアリーフ座礁
バラストや大砲など50トン近くを船から捨てる
なんとか離礁しエンデバー川付近で7週間かけて修理
この間もバンクスはじめ植物学者のソランダーとスペーリングらは多くの固有植物を採取した。
バンクスの名を冠したオーストラリアを代表する花バンクシアをはじめ植物譜に採録された植物の半数はオーストラリアのもの
あまりにも標本の数が多いので画家シドニー・パーキンソンはドローイング(線画)を彩色せず多く描くことを優先した。

ジャワ島のパタビヤで本格的に船を修理
ここで赤痢など疫病に感染したことが原因で約30名死亡、画家シドニー・パーキンソンも亡くなっている。
当時のパタビヤは衛生状態が劣悪で水路に生えているIpomoea aquatica(ヨウサイ、空芯菜)に触れると赤痢になるとすら言われていた
そんなIpomoea aquaticaも花譜集に採録されている。

航海中クック船長は壊血病の予防に努めていたため当時としては珍しく壊血病での死者は出ていない、このことで後に表彰されている

wikipediaより
ザワークラウトはビタミンCの有効な供給源であり、船内の食料として新しく導入されたものであった。

当時の船員は新しいものに抵抗することで知られており、はじめは誰もザワークラウトを食べる者はなかった。クックは一計を案じ、ザワークラウトを自分と士官にだけ供させ、所望する船員には少しだけ残すというようにした。上官がザワークラウトを賞味しているのを見ると一週間もしないで、船員らからの要求が盛り上がりザワークラウトを皆に出さざるを得なくなった (1769年4月13日のクックの日誌より)。

パタビヤでの修理後、南アフリカケープタウンへ向かい希望岬経由でイギリスに帰国した。
バンクスは植物図譜の出版作業を進め試し刷りまで行ったものの自身の多忙と資金の不足で出版には至らなかった。
バンクスの死後80年、1900ー1905年にかけオーストラリアの植物だけまとめたものが単色刷りで出版された。この時一部原画を紛失している。
その後1980年代に紛失したものを補い多色刷りで限定100部の 「バンクス花譜集」が出版された。

「バンクス花譜集」は銅版画で左下に原画家、右下に銅版職人の名が記されている。線画と彩色で二人の名が記されているものもある。
銅版画なので細い線で緻密に描かれている。膨大な原画を銅版に彫って多色刷りで本に仕立てる、気の遠くなる作業だ。

展示されている植物図にマメ科が多い。マメ科というと小さな丸い複葉というイメージがあったが葉の形も花の形も意外に多様だった。
ギャラリートークで廊下にバンクシアのドライフラワーが飾ってあると聞いたので帰りに探して見た。拳二つ分位の大きさのモコモコした開いてない松ぼっくりみたいなものだった。写真撮っておけばよかったな。